千葉県佐倉市 わたなべ司法書士事務所 司法書士 渡辺健治 です。
「カードで買った」といっても、2パターンあります。一つは、クレジットカードのキャッシングや消費者金融会社のローンカードを使って借り入れた現金により商品を購入するパターン、もう一つは、クレジットカードをお店に提示して商品を購入するパターンです。
前者(借りた現金での商品購入)では、お店で購入した人が商品の所有権を取得するのに対し、後者(カードショッピング)では、商品を購入した人(カード会員)がクレジット会社にその代金を支払うまでは、クレジット会社が商品の所有権を取得しているのが通常です。クレジットカードの会員規約に以下のような定めがされているからです。
第〇条(所有権留保) 会員がカードショッピングにより購入した商品の所有権は、その商品の利用代金債務が完済されるまで、当社に留保されるものとします。
なぜ、このような定めがあるのかというと、カード会員がクレジット会社に代金を支払うよう心理的に強制するとともに、カード会員が代金を支払わない場合に、クレジット会社が、所有権に基づき、カード会員から商品の返還を受け、その商品を売却して代金債務に充当することができるようにするたためです。
後者(カードショッピング)の場合、商品の代金がクレジット会社に支払われる前は、商品の所有権はクレジット会社にあるため、カード会員が商品を第三者に転売することはできません(クレジット会社の所有権を侵害することになります)。
私も債務整理の仕事をしていると、依頼者がクレジットカードで購入した商品の返還をクレジット会社から求められることがあります。そして、依頼者に商品が手元にあるかどうか聞いてみると、すでに転売して手元にないことも多いです。商品の返還ができないとなると、債務整理においてクレジット会社の協力を得にくくなります(長期間の分割払いに応じてくれず、ごく短期間で完済するよう求められることもあります)。
カードローンやクレジット代金の支払いが苦しくなると、カードショッピングで購入した換価性の高い商品(ブランド商品、スマホ、パソコンなど)を転売して、支払いに充てる方も多いですが、その場逃れにすぎず、ますます不利な状況に陥ります。支払いが苦しくなったら、すぐに専門家(弁護士、司法書士)に相談するようにしましょう。