コラム

支払督促

千葉県佐倉市 わたなべ司法書士事務所 司法書士 渡辺健治 です。

司法書士は、お金に関するトラブルの相談を受けることがよくあります。例えば、貸したお金を返してくれない、工事が完了したのに工事代金を払ってくれない、商品を納入したのに商品代金を払ってくれない、など。

督促状を送ったり、メールや電話で催促するなど様々な努力したものの、相手方に支払ってもらえず、相談に来られる方がいらっしゃいます。

相手方はどうして支払わないのでしょうか?

工事や商品に問題があった場合は別として、多いのはお金が用意できないからです。収入があっても、他への支払いを優先すると、「今は払えないから、もう少し待ってくれ」ということになります。お金を支払ってもらうには、相手方にとっての支払優先度を高める手立てが必要になりそうです。では、どういう手立てがあるのでしょうか?

まず考えられるのは、裁判を起こすことです。裁判を起こすと、裁判所から相手方に訴状と呼び出し状(○月○日午前・後○時○分に口頭弁論期日が開かれますので、出頭してくださいという内容)が送達されます。相手方は驚いて、支払う気になるということがあります。

それともう一つ、支払督促という手続きをご存知でしょうか? 支払督促とは、通常の裁判手続きより簡易迅速に債務名義(簡単にいうと、強制執行をすることができる文書です)を取得することができるよう設けられた制度です。

裁判手続きは、適正かつ公平な紛争解決のために、裁判官が当事者双方から意見を聞き、また、争いがある部分については、証拠により事実認定することになっているため、口頭弁論期日を開かなければならず、手続きに時間がかかるケースがあります。これに比べ、支払督促は、裁判所書記官が申立書を審査して、口頭弁論期日を開かずに、相手方に支払督促という書面を送達します。そして、一定期間内に相手方から異議申立てがなければ、申立てにより仮執行宣言付支払督促(債務名義)が送達され、強制執行ができる状態になります。

支払督促は、申立費用も安価で、よく利用されています。裁判手続きをやるには少し気が引けるという方は、検討してもいいかもしれません。しかし、ご注意いただきたいことがあります。支払督促は相手方住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官が取り扱うことになっています。もし、相手方から異議申立てがあると、裁判手続きに移行しますが、裁判手続きは相手方住所地を管轄する裁判所で行われます。そうすると、相手方が遠方に居住している場合、遠方の裁判所に出頭しなければならず、交通費や時間が余計にかかってしまいます。相手方が遠方に居住している場合は、近くの裁判所で裁判手続きをやるほうが良い場合もあるのです。

支払督促や裁判手続きについて、もっと詳しく知りたいという方は、お気軽にご相談ください。

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